HDD( ハードディスクドライブ )はパソコンの記憶領域であると同時に、読み書きを行う大事な心臓部分です。
HDDは、以前に比べ手頃な価格になり、容量の大きいストレージですが、あるとき突然調子が悪くなるリスクがあります。
完全に故障してしまうと、パソコンは全く起動しなくなり、保存しておいたデータも失ってしまいかねません。
HDDが故障しやすくなる原因を4つのカテゴリーに分けて説明し、それぞれの対策方法を紹介します。
1.ハードディスクの構造
ハードーディスクは高速回転するモーター、磁気ディスク、磁気ヘッドが連携して動作しています。
(モーター・と磁気ディスクは5,400回転/分または7,200回転/分という高速で回っています)
ディスクの表面をわずかに浮いた状態でヘッドが移動することで、データの読み書きを行います。
さらにこれらの部品を制御するための回路基板も搭載されていて、どれも欠かせない精密部品です。
通常これらは、頑丈なケースに収められ、外部からのホコリや衝撃から保護されています。

2.ハードディスクの故障 4つの要因
HDDはディスクを物理的に回転させてデータの読み取り、書き込みを行うため、長く使うほどに劣化し、最後には動作が止まってしまいます。
これがHDDの寿命で、パソコン内蔵型HDDの平均寿命は4年ほどですが、使用状況や環境によって大きく左右されます。
HDDが寿命に近づくとパソコンの動作が遅くなり、データ処理にも時間がかかるようになります。
(1)外部の影響による破損

[ 原因 ]
- 衝撃や振動:HDDは内部にモーターなど動く精密部品があるためため、強い衝撃や振動が加わると内部部品が損傷する可能性があります。
- モーターが回転して熱を発するため非常に暑い夏は特に暴走しがちです。
または湿気や埃の多い場所では、HDDがうまく動かなくなることがあります。
[ 対策 ]
- HDDを安定した場所に設置し、衝撃を避けるために振動を吸収するクッション材をなど使用すると効果的です。
- 真夏や真冬は特に、適切な温度・湿度を維持するために、エアコンや除湿器を利用しましょう。
(2)内部の機械的故障
[ 原因 ]
- 摩耗:長時間の使用により、内部の部品(特にヘッドとディスク)が摩耗することがあります。
- 劣化:部品が経年劣化することで、故障のリスクが高まります。
[ 対策 ]
- 定期的にデフラグ(記録位置の整頓)を行い、データの配置を最適化をします。
- 不要なデータを定期的に削除し、HDDにかかる負担を少なくしておきます。
(3) 根本的な論理の問題
[ 原因 ]
- ファイルシステムのエラー:データの書き込みや読み込みに問題が生じると、ファイルが破損することがあります。
- 不適切なシャットダウン:パソコンの電源を急に切ると、データがちゃんと保存されないことがあります。
[ 対策 ]
- 定期的にバックアップを取り、重要なデータを外付けドライブやUSBメモリなどに保存しておきましょう。
- 使用中は適切にシャットダウンし、突然の電源OFFをしない。
(ハードディスクに書き込みや読み込み途中かどうかは、ハードディスクの動作ランプなどで確認できることも)
(4) ファームウェア(器機の動き方を決めるプログラム)の不具合
[ 原因 ]
- バグ:HDDのファームウェアに問題が起きると、正常に動作しないことがあります。
- 更新不足:古いファームウェアをずっと使用していると、新しい技術や修正が適用されないことがあります。
[ 対策 ]
- 定期的にHDDのファームウェアを確認し、必要に応じてアップデートを行いましょう。
- メーカーの公式サイトで最新情報をチェックし、推奨される手順を遵守しましょう。
3.その他のおすすめ作業
(1)チェックディスクを使用する:HDD上のファイルシステムの不具合を修復するためのプログラムです
Windowsを起動後、マイコンピュータを開きます。
チェックディスクを行うドライブを右クリックし、「プロパティ」をクリック。ダイアログが開くので、「ドライブのスキャン」をクリックすることで、HDDのチェックとメンテナンスができます。( 操作方法がよくわからないという場合は、講習会でお尋ねください )
(2)大切なファイルやデータは定期的に外付けドライブやクラウドドライブにバクアップしましょう。
(3)不要なファイルやデータは定期的に削除しましょう。
(4)HDDをSSD ( ソリッドステートドライブ ) に交換する
最近ではHDDのような機械式でなく、メモリと同じように、内蔵しているメモリーチップにデータを記録するSSDドライブが普及しています。
- 読み書きのスピードが、HDDの約6〜8倍でとても速い。
- モーターがないので静かで、熱を持たない。
- 耐久性に優れている。
- 価格はHDDに比べ高めになっている。
などの特徴があります。
[ 参考比較表 ]
項目 | HDD | SSD |
---|---|---|
読み込み・書き込み速度 | × 遅い(100MB/s前後) | ◯ 速い(500MB/s~数GB/s) |
耐久性 | × 衝撃に弱い | ◯ 衝撃に強い |
寿命 | ◯ 長め(摩耗は少ない) | × 書き込み回数に制限あり*注1 |
動作音 | × あり(回転音・アクセス音) | ◯ なし(完全無音) |
発熱 | × 高め | ◯ 低め |
消費電力 | × 高め(駆動部あり) | ◯ 低め |
容量 | ◯ 大容量モデルが安価 | × 高容量モデルは高価 |
価格 | ◯ 1TBあたり約4,000~6,000円 | × 1TBあたり約8,000~15,000円 |
用途 | 大容量保存向け | 高速処理向け |
*注1:SSDの総書き込み量(TWB)と書き込み頻度から、寿命をある程度算ができます。
たとえば、総書き込み量(TWB)500TBのSSDの場合一日200GBを書き込みした場合、1年で約73TBの書き込みができます。
1年で73TBを消費した場合、約7年で総書き込み量の500TBを超えるため、7年程度が寿命と考えられます。
1GBを文字数に換算すると、日本語の文章で約5億から6億文字程度と考えられます。 また、標準的な画質の写真画像であれば、約2000枚程になります。
つまり一般的なわたしたちの使用状況ではあまり心配しなくても大丈夫でしょう。
今ご使用のPCでもSSDに換装できることがありますので、ぜひご相談くださいね。
4.まとめ

突然のHDDの故障リスクを抑えるためには、
(1) 外部からの影響を避ける
(2) 内部の機械的な健康を保つ
(3) 論理的な問題を未然に防ぐ
(4) ファームウェアを最新の状態に保つ
が主な対策になりますが、(1)と(2)は普段私たちも取り組みやすい項目です。
壊れる前の点検と対策でパソコンを長ーく使っていきましょう。

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